1分でわかる!gooddo編集部まとめ

  • 野村不動産と東京大学先端科学技術研究センターが共同で、奥多摩町「つなぐ森」にて林業と生物多様性の共生を目指す研究を開始。
  • 研究対象は、奥多摩町にある約1.4haの主伐済みエリア。森林施業と生物多様性の共生を目指し、人工林を草地環境として維持する手法を開発。
  • 絶滅危惧種を含む50種の重要種が生息する森の豊かさの保全を目指す。
  • 世界的な生物多様性損失の課題に対応し、持続可能な森林管理を推進。

生物多様性と林業の共生が求められる理由

生物多様性の損失は、経済や社会の持続可能性に対するリスクとされています。世界経済フォーラムによれば、世界のGDPの半分以上が自然資本に依存しており、その劣化は深刻な影響を及ぼします。しかし、世界では森林伐採や気候変動による生物多様性の損失が進んでおり、この自然資本が危機に瀕しているのです

日本では国土の約3分の2が森林で、そのうち約4割が人工林です。これらの人工林を適切に管理することは、生物多様性の保全だけでなく、土砂災害の防止や水源涵養といった多面的な機能を守るためにも重要です。

そんな中、野村不動産と東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)は、奥多摩町にある「つなぐ森」を舞台に、生物多様性と林業の共生を目指す共同研究を開始しました。


「つなぐ森」で進む未来の森づくり

「つなぐ森」は、野村不動産が2022年から保有する東京都奥多摩町の約130haの森林です。この森には、絶滅危惧種のヒガシヒダサンショウウオやギンランなど、50種の重要種が生息しています。

この研究の目的は、林業と生物多様性の共生を実現するモデルケースを確立すること。人工林を草地環境として維持する施業手法を開発し、持続可能な森林管理を目指します。

主伐済みエリア約1.4haを対象に、植林樹種や草刈の有無を変えた4つの区画を設け、それぞれの環境が生物多様性に与える影響をモニタリング。この結果を基に、草地環境を維持しながら生物多様性を高める森林施業手法を開発していく予定です

また、研究には東大先端研の森章教授が参画。森教授は、生態系サービスに関する研究で国内トップクラスの実績を持ち、これまでに多くの論文を発表しています。


森林管理が未来を変える

この取り組みは、単に森を守るだけでなく、未来の森林管理のモデルケースを作ることを目指しています。適切な森林管理は、気候変動対策や地域経済の活性化にも寄与します。

企業と学術機関が連携し、地域の自然を守りながら持続可能な社会を目指す取り組みは、未来の課題を解決する鍵となるでしょう。「つなぐ森」での研究を、私たち一人ひとりが自然と共生する社会を考えるきっかけにしてみませんか?

関連画像・資料

問い合わせ先情報

【解説】「林業と生物多様性の共生」ってどういうこと?

奥多摩の「つなぐ森」で林業と生物多様性の共生を目指す研究が始まったと聞きました。そもそも、林業と生物多様性の共生ってどういうことですか?

gooddo編集長

林業と生物多様性の共生とは、木を育てたり伐採したりする林業の活動が、森に住む動植物の多様性を守りながら行われることを指します。たとえば、木を切るときに、絶滅危惧種が住む場所を壊さないように配慮したり、森の環境を整えることで新しい生態系を作ったりすることです。

たとえるなら、家を建てるときに周りの自然を壊さず、動物たちが安心して住める場所を残すように工夫するようなものです。

どうして生物多様性がそんなに大事なんですか?

gooddo編集長

生物多様性は、私たちの生活に欠かせないものです。たとえば、森が豊かだときれいな水が得られたり、土砂災害を防ぐことができます。また、薬や食べ物の元になる植物や動物も生物多様性があってこそ存在します。

どうして林業と生物多様性を両立させる必要があるんですか?

gooddo編集長

林業は木材を供給するために必要ですが、過剰な伐採や管理不足が生物多様性を損なう原因になることがあります。一方で、適切な管理を行えば、木材を生産しながら生物多様性を守ることも可能です。たとえば、草地環境を維持することで、絶滅危惧種が生息しやすい環境を作ることができます。

「つなぐ森」には絶滅危惧種がいるそうですが、どうしてそんなに貴重な場所なんですか?

gooddo編集長

「つなぐ森」には、ヒガシヒダサンショウウオやギンランなど、絶滅の危機にある動植物が50種も生息しています。これらの生物は、特定の環境でしか生きられないため、森の状態が少しでも変わると生存が難しくなります。だからこそ、この森を守ることは、生物多様性を保つうえでとても重要なんです。

森を守ることって、私たちの日常生活にも関係あるんですか?

gooddo編集長

はい、関係あります!森は空気をきれいにしたり、水を蓄えたりする役割を持っています。たとえば、森がなくなると洪水が起きやすくなったり、気候変動が進んだりすることがあります。私たちが普段使う木材や紙も、森から来ていますよね。だから、森を守ることは、私たちの生活を守ることにもつながるんです。

森を守るために、私たちができることは何ですか?

gooddo編集長

森を守るためにできることはたくさんあります!たとえば、木材や紙製品を無駄にしないことや、環境に配慮した商品を選ぶことが挙げられます。また、森を守る活動に参加したり、情報を広めたりすることも大切です。たとえば、学校や地域で植樹活動に参加するのもいいですね。小さな行動が、未来の森を守る大きな力になりますよ。