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サステナビリティのリーダーに密着!
ビジネスと社会貢献を両立する人と企業の深掘りシリーズ
「キーコーヒー」といえば、喫茶店の前に置かれた看板を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。実はキーコーヒーは、コーヒーがまだ“特別な飲み物”だった大正時代に創業し、日本に喫茶文化を根付かせてきた企業です。そしていま、若い世代のあいだで喫茶店が再び注目されています。
今回は、キーコーヒー株式会社 代表取締役社長・柴田 裕さんにお話を伺いました。
2050年、気候変動の影響によって、現在のコーヒー産地の多くが生産に適さなくなる可能性があるといわれています。
「未来の世代にも、今と同じようにおいしいコーヒーを飲んでもらいたい。」
その思いを胸に、キーコーヒーは生産者とともに“未来のコーヒー”を育てる取り組みを進めています。100年以上コーヒーと向き合ってきた企業が、いま改めて見つめている「コーヒーの未来」とは何か。その答えを伺いました。
取材・編集:gooddo編集部
喫茶文化を支える“品質第一主義”
まず、キーコーヒーの事業内容について改めて教えてください。
キーコーヒーというと、街の喫茶店の前に置かれた看板を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
当社は、海外の農園事業から、コーヒー生豆の調達・焙煎・加工、そしてお客様のもとで提供される瞬間まで、 “豆が育つ場所から、カップに注がれる時間”までを一貫して担うコーヒーの総合企業です。
コーヒーが飲まれるシーンに合わせ、当社が担う市場は大きく3つに分かれます。
- レストランや喫茶店で提供される 業務用
- ご家庭で楽しんでいただく 家庭用
- コーヒー飲料の味わいを決める 原料用
形は違っても、すべてに共通しているのが 「品質第一主義」 という姿勢です。「品質」と聞くと、“味”をイメージされる方が多いと思いますが、私たちはそれだけでは不十分だと考えています。
同じ豆でも、老舗喫茶店とカフェ、そしてご家庭で飲むコーヒーでは、求められる味わいが違います。
それは、お店のコンセプトや空間、常連のお客様の記憶や、その日の時間の流れさえ関わっているからです。
そのため私たちは、単に豆を届けるのではなく、 “そのお店らしさ”や “その家の食卓らしさ” まで支えることを「品質」と考えています。

コーヒー文化を“日本の暮らし”に根付かせた100年
キーコーヒーには、創業時から「人」と「文化」を大切にしてきた歴史があると伺いました。
1920年(大正9年)、横浜で創業しました。当時の横浜は、欧米文化が入ってくる玄関口。創業者である私の祖父は奉公しながら働く中で、銀座の喫茶店に関わり、そこでコーヒーに出会いました。
その当時、コーヒーはハイカラな喫茶店や一部の家庭でしか味わえませんでした。「おいしいコーヒーを、誰でも当たり前に楽しめるようにしたい」という想いで創業しました。
「キーコーヒー」という名前には、“日本の食文化の新しい扉を開く鍵”という思いが込められています。
日本では、コーヒーはまだ「特別な飲み物」だったんです。コーヒーというものが「新しい世の中の扉」や「世界への扉」を開く“鍵”のように感じたことが語源です。

最初は手軽にコーヒーを飲めるようにコーヒーシロップを販売。その後私たちは、単に輸入するだけではなく、コーヒーを“生産するところからやってみよう”と考え、沖縄や台湾での栽培にも挑戦しました。
かなり昔から、コーヒー栽培にも取り組まれていたんですね。
はい。戦前から、沖縄や台湾でコーヒー作りに取り組んでいました。
日本国内でコーヒーの栽培は一般的ではありませんでしたが、気候的にも可能性があると考えられていた土地で、 試験的に栽培を行いながら、 日本の食文化としてコーヒーを根付かせるための仕組みづくりをしていきました。
そこから広がっていったのが、
- 1953年、キリマンジャロやブルーマウンテンを業界で先駆けて輸入
- 1955年、喫茶店を始めたい人達に向けた「コーヒー教室」の開催
「コーヒー教室」は、当時喫茶店の開業者向けでしたが、百貨店をはじめ学校や店頭でも開催したほか、テレビでも放映。一般家庭にも広がり、喫茶文化の普及へとつながっていきました。
キーコーヒーが描く「コーヒーの未来」
創業から100年の歴史を経て、次の100年に向けてどのような課題意識を持っているのでしょうか?
これまでの100年は、コーヒーを「誰でも簡単においしく」を追及してきたように振り返っています。そしてこれからの100年は「楽しく・興味深く」を加え、テーマにしています。
キーコーヒーが考える「楽しく・興味深く」を実現するには、二つの重要な柱があります。
1つ目は、 生産地の未来を守る取り組み。
気候変動の影響を受けやすいコーヒー産地を支え、未来でもおいしいコーヒーを届けられるようにする取り組みです。 関係機関と推進する品種・栽培の研究や、生産者への支援が含まれます。
2つ目は、 喫茶文化を未来へ継承する取り組み。
日本に根付いた喫茶文化を次世代へ受け渡すため、若い世代への発信や体験機会の創出などを行う取り組みです。
キーコーヒーは、この2つの両輪でコーヒーの未来を守っていきます。
1つ目の「生産地の未来を守る取り組み」のために、プロジェクトチームが作られたと聞きました。
はい、2022年に立ち上げた「コーヒーの未来部」という社内横断の部署があります。部長は私が務めています。
背景には、コーヒー生産国が直面している“コーヒーの2050年問題”があります。
気候変動の影響で、私たちがよく飲んでいるアラビカ種コーヒーの生産地域が2050年までに半減する可能性があることはご存知でしょうか?これは、私たちが日々当たり前に飲んでいるコーヒーが、将来は“当たり前ではなくなる”かもしれないということです。
「未来の世代にも、今と同じようにおいしいコーヒーを楽しんでもらいたい。」 そのために、私たち自身が動かなければならないと考えたんです。
「コーヒーの未来部」は、そうした危機感と使命感から生まれた組織です。
各部署から選抜で、 生産地支援、品質・品種の研究など、 “持続可能なコーヒー生産の実現に向けた取り組み”を推進するべく設置されました。

コーヒーの未来部では、実際にどのような取り組みをしているのでしょうか?
シンプルに言うと、“今と同じようにおいしいコーヒーを、未来でも飲めるようにするための準備”です。
コーヒーは、一般的に標高1,500m前後で気温の寒暖差があり、年間の降水量が1,500~2,000mmという環境が理想の栽培条件といわれています。しかし、気候変動によって降雨サイクルの変化が起こると、うまく育たなくなることがあります。そのため、気候に合わせた品種の選択や、栽培方法の工夫、精選(加工)方法の改善などが必要になります。
こうした知見を、生産者の皆さんと現地で対話しながら、互いに情報交換し、実践と検証を重ねています。
中でも、私たちが最も大切にしているのは、「生産地・生産者と共に進む」という姿勢。キーコーヒーは1973年からインドネシア・トラジャ地方で農園づくりに取り組んできました。
そこで私たちは、現地の方々の声に耳を傾け、研究者と知恵を共有しながら、一緒に試行錯誤を積み重ねることの大切さを学んできたんです。
インドネシアでの経験が未来部の活動につながっているんですね。
はい。 インドネシア・スラウェシ島のトラジャ地方は、私たちにとって特別な場所です。
「トラジャコーヒー」は、かつて“幻のコーヒー”と呼ばれていました。標高1,000〜1,800mに広がる冷涼な高地、火山性の肥沃な土壌、 昼夜の寒暖差が生む、爽やかな酸味と深いコク、そして甘い香り。
しかし、戦争を境に産地は衰退してしまい、農園も設備も、コーヒー文化そのものも、ほとんど途切れてしまっていました。
戦後、現地の方々から「もう一度、コーヒーを取り戻したい」という声が上がったんです。
それに応える形で、私たちは“コーヒーを買う側”ではなく、 “一緒においしいコーヒーをつくる仲間”として関わることを決めました。
トラジャでの取り組みは、ゼロからのスタートでした。
土をつくり、苗を育て、水を引き、 どの標高や日照が最もコーヒーの栽培に適しているのか、 どの精選方法が品質を向上させるのか。現地の方々と一緒に、何度も試すところから始まりました。
そして、栽培だけでなく雇用の仕組みや道路の整備、地域の学校運営の支援など、暮らしと生産の両立を一歩ずつ整えてきたのです。

100年かけて育ててきた、持続可能な企業姿勢
未来部は“新しい取り組み”ではなく、キーコーヒーが歩んできた歴史の延長線上にあるということですね。
はい。生産地と共に未来をつくることは、私たちにとって「サステナビリティ」ではなく、存在意義そのものなんです。
気候変動の影響を受けるのは企業ではなく、そこで生きる人々です。だからこそ、「共に悩み、共に進む」姿勢が私たちの活動の根幹にあります。
現地の方々と肩を並べながら、「どうしたらコーヒーが育つのか」「どうしたら暮らしが成り立つのか」を、ひとつずつ対話しながら積み重ねてきました。
その中で生まれたのが、生産者同士が知恵や工夫を共有し合う文化です。誰かが教えるのではなく、仲間として育ち合うという関係が自然と培われていきました。
この経験が、いまの「コーヒーの未来部」の根底にある『生産者と共に未来をつくる』という思想につながっています。
とても真剣に取り組まれていることを感じます。
コーヒーに対する「使命感」はどこから生まれているのでしょうか?
やはり、“コーヒーは人がつくるもの”だという考え方があります。
コーヒーは、土地と気候だけでできているわけではありません。その土地で生きている人がいて、生活があって、文化があって、はじめて一杯のコーヒーが生まれる。
気候変動によって産地が減ってしまうということは、生産量の減少や味わいの低下に影響するということ以上に、 そこで暮らす人たちの未来が不安定になるということです。
そこに、私たちは強い危機感と同時に使命感を感じました。
「おいしいコーヒーを未来の世代にも残す」ことは、私たちがコーヒーの仕事をしている意味そのものだ。そう思ったんです。そして、これはどこかの誰かがやってくれることではありません。
キーコーヒーが100年以上かけて、世界中の生産地の方々と歩んできたからこそ、“私たちがやらなくてはいけない”と感じています。
多くの人を仲間として、広がっていく
「コーヒーの未来部」は、多くの関係者の方に支持されていると伺いました。

そうですね。ありがたいことにさまざまな立場の方から声をいただいています。
特に社員への影響は大きいと思います。生産地に赴いた社員が、現地の生産者の想いを持ち帰ってきてくれるんです。それが、社内全体に伝播する。
「自分たちの仕事は、社会に必要とされている」「自分の手が、誰かの生活とつながっている」
そうした“誇り”が生まれるんです。これは、どんな研修よりも強い学びになると感じています。
今年は生産地の方と協力して、『エチオピア JARC74148』という新しいコーヒーを販売しました。一緒にプロジェクトが形になるのは嬉しいですね。
株主の皆様からの理解も得られていると伺いました。
「コーヒーの未来部」の活動をきっかけに、ここ数年でESG投資の視点から評価をいただく機会が増えました。
「短期的な利益ではなく、長期的な価値向上につながる活動だ」 と、力強いご期待をいただいています。
生産地に関する質問を株主総会でいただくこともあります。それはつまり、 「コーヒーの未来」が、企業価値の未来そのものになっているという証拠だと思うんです。
これからも、コーヒーを当たり前に楽しめるようにしたい
今後はどのような活動をされる予定でしょうか?

キーコーヒーでは、生産地の未来を守る「コーヒーの未来部」の取り組みに加えて、会社全体として取り組んでいる“喫茶文化を次世代につなぐ活動”にも力を入れていきたいですね。
喫茶店はコーヒーを飲む場所以上に、人がつながり、地域の記憶が育まれる“文化の拠点”です。この文化を未来へ受け渡すことは、創業当時から続くキーコーヒーの大切な使命です。
特に、若い世代にコーヒーの魅力を伝える取り組みを強化しています。
SNSでの発信、イベントでの対話、オンライン工場見学のほか、『18歳。コーヒーを』をキャッチフレーズにした新しいコーヒー文化をつくる企画などを通じて、“ただ飲む”だけではなく、コーヒーの背景にある人や土地の物語まで感じられる機会をつくっています。
こうした活動を通じて、「一杯のコーヒーが、どこか遠くの暮らしとつながっている」という実感を多くの方に届けたい。それが、コーヒーをより深く楽しむことにもつながると考えています。
「文化をつなぐ」という言葉がキーコーヒーさんらしさを感じます。
ありがとうございます。創業の頃から、私たちは“日本にコーヒー文化を根づかせる”ことを目指してきました。
そして今は、“未来でもコーヒーが当たり前に楽しめる世界を守る”ことが、私たちの役割だと思っています。
コーヒーの価値は、味や香りだけではありません。 「人と人をつなぐ」「時間を豊かにする」存在です。その価値を、未来永劫、多くの方に届け続けたい。
生産地にも、働く社員にも、飲む人にも、株主の方々にも、誠実に向き合うことで生まれる“信頼”こそ、私たちの財産です。
創業の精神を胸に、一杯のコーヒーを通じて、持続可能な未来をつくり続けていきます。


