サステナビリティのリーダーに密着!
ビジネスと社会貢献を両立する人と企業の深掘りシリーズ

「寄付って、特別なことじゃないんです。誰でも気軽に始められるんですよ」

そう語るのは、gooddo株式会社の下垣圭介社長。

寄付未経験者を主役にした独自のモデルで、社会課題解決に挑む下垣さんの言葉には、温かさと情熱を感じられます。創業から11年、寄付文化を日本に根付かせるために歩んできた道のりと、これからの展望を伺いました。

取材・編集:gooddo編集部

事業が伸びることで、社会が良くなる仕事がしたい

gooddo株式会社は、株式会社セプテーニ・ホールディングスの社内ベンチャーとして2014年に創業し、『いいことしやすく』をビジョンに掲げている会社です。

私たちのミッションは、寄付をはじめとする社会貢献をもっと身近なものにすること。日本ではまだ寄付文化が根付いていないと言われていますが、私たちはその状況を変えたいと思っています。

具体的には、無料で社会貢献ができるプラットフォームを提供しています。私たちのサービスを通じて、社会課題に関心を持ったり無料で支援したりできて、これまでに2.7億円以上支援金を届けてきました

さらにはユーザーが応援したいNPOに対して継続的な寄付という形で支援を行う仕組みを作っています。これまでに約15万人の方が継続型寄付を始めており、寄付未経験者が一歩を踏み出すきっかけを提供してきました。

また、今後は寄付だけでなく、企業と連携して社会貢献活動を促進する取り組みも行っています。企業の商品やサービスを通じて寄付を促進する仕組みを作ることで、企業の社会的責任(CSR)やサステナビリティ活動を支援しています。

「自分たちの事業が伸びることで、社会が良くなる」そんな仕事がしたいと思ったんです。これが、私が創業時に掲げた最も重要な理念です。gooddo株式会社を立ち上げたのは、寄付文化がまだまだ根付いていない日本で、社会貢献をもっと身近なものにしたいという思いからでした。

創業時に大切にしたのは、『誇りを持てる事業』『まだ世の中にないもの』『日本でのニーズに応えること』の3つでした。

特に寄付という行為が持つ『利己的な対価がない』という特性に惹かれたんです。寄付って、資本主義の経済合理性では説明できない、人間味のある行動ですよね。それを広げることが純粋に楽しいと思いました。

また、寄付を通じて社会課題を解決するだけでなく、寄付未経験者に一歩を踏み出してもらうことにこだわり続けてきました

『0を1にすることが、社会にとって最も大きなインパクトを生む』と信じています。この姿勢は、創業から現在まで一貫して変わりません。

創業当時は、今ほど社会貢献やサステナビリティが注目されていませんでした。SDGsという言葉もまだなく、社会課題に関心を持つ人は限られていました。それでも私は、この領域に可能性を感じていました。

日本は課題先進国と言われるほど多くの社会問題を抱えていますが、寄付文化は世界的に見ても遅れている。

そこにギャップがあると感じたんです。だからこそ、寄付を通じて社会課題解決に貢献する事業を始めることに意味があると思いました。

社会課題への認知を広げ、関心を持ってもらう

未経験者でもスマホで、簡単に寄付ができる仕組み

私たちの寄付モデルは、寄付未経験者を主役にしています。

寄付を増やすと言っても、既に寄付している人がもっと寄付するのではなく、まだ寄付をしたことがない人が少額でも寄付を始めることにこだわっています。

このアプローチにより、寄付文化の裾野を広げる一助となりたいと考えています。

例えば、寄付をしたことがない人が『寄付って意外と簡単なんだ』と気づいてくれる瞬間があるんです。そのきっかけを作るのが私たちの役割だと思っています。

寄付未経験者が一歩を踏み出すことで、社会課題への関心が広がり、結果的に寄付文化が根付いていく。これが私たちの目指す未来です。

寄付を通じて社会課題を知る人を増やすことも、私たちの重要な成果です。例えば、寄付をしなかったとしても、団体や課題を知る人が増えることは大きな意味があります。

認知が広がることで、応援してくれる人が増え、社会課題解決の力が強まります。

私たちのモデルは、寄付を集めるだけではなく、その過程で社会課題の認知を広げることを重視しているんです

例えば、ある団体の活動を知ったことで、その団体を応援したいと思う人が増える。寄付をしなくても、その団体の活動を広めたり、他の形で支援したりする人が増えることも大きな成果だと思っています。

社会問題を知るメディア「gooddoマガジン」

現在、gooddoを通じて継続型寄付を始めた人はこの10年で約15万人にのぼります

この数は、私たちが事業を通じて生み出したインパクトそのものです。売上や利益だけではなく、行動を起こした人の数を最大化することが私たちの目標です。

継続型寄付は、寄付文化を根付かせるための重要な仕組みだと思っています。

一度寄付を始めた人が、その行動を続けることで、社会課題解決への貢献が積み重なっていく。これが、私たちの事業の核となる部分です。

"good"なアクションを広げることに注力したい

寄付って、人間だからこそできる次元の高い行動だと思うんです。今後は寄付だけでなく、さまざまなソーシャルグッドなアクションを広げることに注力していきたいと思っています。

寄付未経験者を主役に据えたモデルをさらに進化させ、社会課題解決の輪を広げていきたいですね。

例えば、寄付以外にも、社会性の高い商品やサービスを選ぶことも立派な社会貢献です。

今後は、企業が提供する商品やサービスを通じて、社会課題解決に貢献する仕組みを作ることも、私たちの目指す方向性の一つです

ソーシャルグッドなアクションは特別なことではありません。少額の寄付でも、購買活動でも、気軽に始められるものです。

ぜひ社会課題に触れ、行動を起こしてみてください。私たちのサービスが、その一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

Profile

gooddo株式会社
下垣圭介

2006年に株式会社セプテーニに新卒入社後、インターネットマーケティング事業を担当。2010年からソーシャルメディア事業部の立ち上げに携わる中で「ソーシャルセクター」領域の可能性を実感して、2013年に新規事業として社会貢献プラットフォーム「gooddo(グッドゥ)」を設立。 2014年10月に同事業をグループ内ベンチャーとして法人化し、代表取締役に就任。